里山の秋:ススキ
日本の秋には、ススキがよく似合う。金閣寺よりも、侘びさびの銀閣寺に心惹かれる日本人の心は、「応仁の乱」以来のものだ、という説があるらしいが、いや僕は、その銀閣寺のある京都よりも今の奈良に心寄せている。あおによしのいにしえの大和ではなく、鄙びた今の奈良に、僕はずーっと心寄せている。
さて、東大寺大仏殿前の交差点付近で、観光客相手の人力車の営業が始ってもう何年も経つのだが、奈良にそぐわない風物が増えるのはまったくもって困ったもんだ。また、それに乗る客の心が判らない。僕の中では、人力車は、江戸・深川辺りの意気な風景のはずだったのだが…。
奈良を訪れる方には、ススキのよく似合う秋の奈良に、どうぞ気をとめてほしいものだ、と思うのは僕だけだろうか。
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