里山の秋:ルビー色のきらめき
野分立つ里山に夜の帷(とばり)が降りてきた。カラスウリの白いレースが揺れている。カラスウリの白い花は、夜しか見ることのできない花だ。この花は、夕暮れ時に開いて翌朝には、しぼんでしまう一時のレース編みなのだ。
懐中電灯で風に乱れる草原を照らすと、あちこちでルビー色に輝く眼。スズメガやヤガなどの蛾たちだ。彼らの眼は光を反射して、赤く光るのだ。
一瞬、青白い反射光が見えた、何だろう。近づいてみるとそれはハシリグモの眼の反射光であった。
夜の里山には、昼とは違う発見がある。
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