里山の秋:クロホウジャク
秋になると近畿・中国地方にもっとも多いヨシノアザミに、クロホウジャクが訪れていた。スズメガ科としては小さい方だが、後翅の内側が黄色で人目につきやすい蛾だ。まるでハチドリのように優雅に空中で一時静止する。1秒に5コマの連写ができる一眼レフデジカメを手に入れたので嬉しがって撮ってみたが、羽ばたきを止めるほどの高速シャッターは切れなかった。写真の腕を磨かなければ…。
このエッセイについて、宮田 彬さんから問い合わせのメールを頂いた。曰く、『ホウジャク類は数種あり、大分では花に来るのはヒメクロホウジャク、ホシホウジャク、ホシヒメホウジャクの3種です。クロホウジャクは夜、灯火に飛来することが多く、決して珍しい種ではないのですが、不思議なことに花に来ません。そこで質問ですが、写真を撮られた個体の標本をお持ちですか?ホシホウジャクとクロホウジャクは大きさも斑紋も少し違いますが、採集しないと区別は無理です。写真はホシホウジャクの可能性もあります。なぜか他でもクロホウジャクの吸蜜写真を見るのですが、写真のみで標本は残されていませんでした。今回標本があり、確かな同定であれば私の知る限りではクロホウジャクが吸蜜する初めての証拠写真です。』
ご免なさい。標本はありません。クロでなくてホシかもしれませんネ。ホシ(真犯人)は、黒ではない? 白黒つけるには、標本を残さねばいかんのだなぁ…。『自然観察はきちんとした種の同定が伴わないとナンセンスです。』とのお叱りを受けました。おっしゃる通りです。今後はもっと慎重に書きます。
さて、このページを書いてから1年経った今年、宮田 彬さんに標本を送りました。僕の出勤時間の朝、6時前後という決まった時間に、我家の花を訪れて吸蜜する秋の蛾の写真を撮ってみたのです。今度は、8000分の1秒でシャッターを切りました。この蛾は、宮田 彬さんにホシホウジャクと同定して頂きました。やっぱり真犯人は、ホシなのでしょうか。ホシホウジャクが明け方の決まった時間に訪花するのは何故でしょう?
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