熊本県芦北町のくも合戦:古石夏祭りを訪ねて/「くも合戦in益城町」のお話も伺った(2016年8月13日)
震度7が二度襲った益城町に位置する熊本空港、着陸体制に入り飛行機が高度を下げていくと、ブルーシートに覆われた沢山の被災家屋が目に入ってきた。高速道路は、お盆の帰省と災害復旧工事のため、渋滞の長い車列が上空からよく判る。2016年8月13日、私は熊本県の南部に位置する芦北町を訪問した。芦北町は幸い、今回の地震の影響を受けなかった。この地にある「古石交流館
みどりの里」は、2004(平成16)年に閉校した地元の小学校を当時の外観のまま改装し、体験学習や宿泊ができる生涯学習センターとして2005(平成17)年にオープンした施設。今日はここで古石地区の夏祭りが催され、くも合戦が行われるのである。
この地のくも合戦大会は、年配の方々がかつてクモを闘わせて遊んでいたことを聞き及んだ古石交流館
みどりの里の初代館長 溝口秀士さんが、交流館が出来た時に始めたもの。よって、今年で11回目である。くも合戦愛好家の皆さん(7名)の記念撮影の後、トーナメント戦が始まった。池田
正さん(昭和11年のお生まれ)の軽妙な司会が大会を盛り上げる。優勝決定戦は、暑さのためか、クモがなかなか闘わずにじゃんけんで勝者を決めることとなったのは、少し残念であった。鹿児島加治木町のくも合戦に倣ってと思われる優良グモのコンテストもある。「わざわざ奈良から来られたクモの先生だから…」と言われて、困ったことに私が優良グモを審査することになってしまった。いやー正直これは、冷や汗ものであった。
「くも合戦in益城町」
溝口秀士さんはじめ芦北町古石地区のくも合戦愛好家が、地震の震源地に近い避難所「益城町中央小学校」でくも合戦を行った。溝口さん曰く:クモ嫌いが多く、喜んでもらえるか心配なので事前に避難所に行って試しに見てもらいましたら、大変喜んでいただき、避難者の多くが見られる夜に開催してくれと頼まれ、先日4人でくも合戦を見てもらいに3時間半かけて益城町に行きました。子どもたちも多く来てくれて大賑わいでした。クモの戦いぶりはものすごく、行司役の75歳のおじいさんのクモ扱いに皆さん大喜び。夜7時から1時間の間16匹のクモのトーナメント戦に被災者の皆さんは歓声を上げてくれました。
希望があれば他の避難所にも行くつもりです。いつの日にか岩手にも出かけてくも合戦を披露できればいいなと思っています。
溝口さんは、トラックに荷物を積み、単身岩手に行くことを5年前からされているが、今年の夏は、岩手でくも合戦をやりたい、とのこと。奥様は、小学校の先生で、私のクモの絵描き歌「くもといえば8」を教えてほしいとリクエストを頂いた。益城町はじめ岩手の被災地へのボランタリーをなさっておられる溝口さん、子どもたちと向き合っておられる奥様。とっても素敵なご夫婦と出逢うことができた。クモを追いかけていると、いつもクモ繋がりのいい出逢いが一杯。これは本当にクモのお陰である。
避難所の益城町中央小学校にて(撮影:溝口秀士さん)
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