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日本人の動物遊戯の文化:チョムナードさん

 京都・烏丸の京都精華大学交流センターで開催された、タイ国から来日されているチョムナード・シティサン(Chomnard SETISARN)さんの「闘牛とクモ合戦にみる日本人の動物遊戯(闘技)の文化」と題したレクチァーに僕は参加した。海外の日本研究者を日本に招聘し研究する機会を提供している国際交流基金京都支部主催の2008年フェローセミナーである。

 「鹿児島県徳之島の闘牛は、金銭的に余裕のある人しか闘牛のオーナーになれないので、謂わばF1レースのようなものである。闘えなくなった牛の処分もオーナーは考慮しなければいけない。一方、鹿児島加治木町のくも合戦は、コストがかからないから、誰でも参加でき、参加者の平等性がある。自然からクモという遊び道具を持ってきて、遊んだ後にはまたクモを自然に還す。」

 僕は彼女のそのフレーズに頷いた。そう、かつて日本のどこでも、そして東南アジアでも、虫を遊び道具として楽しむ子どもたちの文化があったんだ。

 もちろん、チョムナードさんは、闘牛とくも合戦の共通点を挙げてもおられたが、田を耕し、リヤカーを引き荷を運ぶ牛は、農家の大切な資産であったから、田んぼの隣に住まいするサラリーマンの子どもであった僕らには、牛は近寄り難い存在。子どもの頃、虫を追いかけた虫めづる僕にとって、闘牛文化と虫で遊ぶ文化との共通点は見出し難かった。

講演するチョムナードさん

闘牛とくも合戦について講演するチョムナードさん

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