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里山の春:ハクモクレン

 児童公園のハクモクレンの白い大きな花が満開である。木蓮(もくれん)の仲間はマグノリア属(Magnolia)、山に自生するマグノリアといえばコブシ。山が笑っている様にコブシが咲いていた信州の景色を思い出しながら、公園の花に見惚れてしまった。

 単子葉類の花は、花びら・がく・おしべ・めしべの中の子房の部屋数など、すべて3の倍数からなっている。双子葉類の花のすべての器官は5の倍数からつくられている。どうして一方が5数性で一方が3数性なのだろう? 木蓮は双子葉類なのにその花びらは6枚である。なぜだろう? マグノリアは、沢山のおしべをもつことから原始的な花と考えられているが、そのせいだろうか。

 生物の形態形成や発生の仕組みを遺伝子レベルで比較し、それによって進化の仕組みを明らかにしようとするエボ・デボ(Evolutionary Developmental Biology)と呼ばれる研究分野が、この問題への答えを出していることを教えて頂いた。
なんと、双子葉と単子葉に被子植物を2別していたのは間違いだったということが、分子系統学的には確定している、とのこと。このことは、いろいろな教科書に次第に書かれるようになってきているそうで、モクレン科は単子葉類が分化する前に分かれた系統で、多くの"双子葉類"(現在の用語でいうところの真正双子葉植物)が生まれる前にあった系統からできたものなので、いわゆる双子葉類と違って当然なのだ、とのことである。

 マグノリアの花は、美しさの奥に神秘を秘めた花でもある。

被子植物の分子系統樹

図は、Wikipedia「APG植物分類体系」より引用

ハクモクレンの画像

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