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第1回大分コガネグモ相撲選手権 (2013年7月28日)

 関あじ・関さばで全国に名の知れた佐賀関。佐賀関港へ国道を約8 kmの最寄駅、日豊本線の幸崎(こうざき)という小さな駅に降り立った僕を、「木佐上コミュニティー」の方が迎えに来て下さった。穏やかな丘陵と水田の懐かしい風景が広がるこの地、大分市木佐上の浄慶寺では、子どもたちの夏休みサマーキャンプ行事の一つとして、これまで12回、クモ相撲が行われてきた。地域興しに取り組んで来られた「木佐上コミュニティー」の設立25周年記念として通算13回目の今年は、参加者の巾を広げようとの意気込みを込め、第1回大分コガネグモ相撲選手権と銘打った大会が開催されるのである。

 大分市木佐上の浄慶寺境内には、「第1土俵」・「第2土俵」の2つの土俵、トーナメント表掲示板、さらには日差しを防ぐための寒冷紗が観客席を覆い、既に準備万端であった。大分市田室町の染色家、沈 露露(ちん ろろ)さん(中国武漢市出身)と、妻で日本画家の矢野 麻理さんが描いたコガネグモが土俵に華を添えている。お二人は浄慶寺本堂に、極楽浄土を表現したハス畑を描いた壁画を手掛けている。これは、浄慶寺の豊岡 光闡(とよおか こうせん)住職の人徳のなせる業…。住職の豊岡さんは、クモ相撲の司会・進行・行司を務めるこの行事のプロデューサーであり、現在の全校児童数25名という小さな木佐上小学校の子どもたちにとって、大きな体験と勉強の場であるサマーキャンプを継続してこられたとのこと。第1回大分コガネグモ相撲選手権大会は、トーナメント戦の出場者72名と大盛会。素晴らしい大会となった。

 さて、各地のクモ相撲を追いかけていると見えてくるものがある。長い時間そこに居ると見えてくるものがある。木佐上の浄慶寺の場合は、自らクモを採り育て試合に臨む。参加の小学生の親方にインタヴューしたところ、『2〜3週間前に採ったクモにショウリョウバッタを与えた、育てている間にクモが脱皮した』、とのこと。試合に出場する自分の力士(クモ)を応援する声も自ずと大きくなる。『孫のために、大きなクモの居る所を探しました。以前と違い、ジョログモが少なくなったねぇ』とのお話も伺った。これは”ほんまもん”のクモ相撲である。お年寄りは、昔を思い懐かしみ、若いお父さん・お母さんは、子どもと一緒に声援を送り、クモの闘いに一喜一憂する…。此処のクモ相撲はきっと、ずっと続いていくと僕は確信をした。とっても嬉しくなった。

 ところで、「ジョログモ」は、大分県北部の呼び名であり、県南では「ダイラ」「デーラ」、県央では「ジョウラン」「ジョウラングモ」など、その他にもいろいろと呼ばれているが、ジョウランという呼び方は、もともとは高知県の「タイラ」という呼び名が変化したものである、とコガネグモを紹介するプリントを参加者に配布し、クモの話を菊屋 奈良義(きくや ならよし)さん(大分野生生物研究センター理事長)がされた。クモの大家・菊屋さんが来られたのも、おめでたいことでした。

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