高山の蝶:お花畑で蜜を吸うコヒオドシ
稜線の上を渡る風に飛ばされながらも、高山の花をさがして元気に飛びまわるコヒオドシは、山地性のタテハチョウである。この若くはつらつとした蝶は、高山の陽光を楽しんでいるように見える。彼女は、もともと北方系の種で、北海道では平地の普通種なのだが、本州では南・北アルプスの高地にだけとり残された高山の蝶なのである。雪渓の雪が消えはじめると、コイワカガミが蕾をつけ、ハクサンイチゲ、シナノキンバイ、そしてハマナスによく似たタカネバラ・・・と、お花畑にいっそくとびに夏が訪れる。
苔むした岩に止まったぞ。今度は、コイワカガミの花で吸蜜だ。倒木に羽を休めたと思ったら、また、飛びたって風に舞う。妖精のように美しく飛ぶ彼女は、登りのつらさをしばし忘れさせてくれる。
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