里山の夏:ハンミョウ
湧き上がる雲の峰。盛夏の日盛り、山路で久しぶりにハンミョウに出会った。
近寄ると足元からすばやく飛び立ち、数メートル先の土の上におりる。さながら道案内をするように見えるので、「ミチオシエ」とも呼ばれるとは、うまく云ったものだ。
金緑色・赤紫色・群青の極彩色に輝くこの美しい甲虫の幼虫は、土の中に穴をあけて住んでいる。あれは、何の茎だったか…、穴につきさしてはハンミョウ釣りをした幼い頃。あの時も、入道雲がぐんぐんと空に伸びていたはずだ。
ふっと、懐かしい時にタイムスリップした瞬間。「ミチオシエ」が、また飛び立って、私が近づくのを遠くの方で待っている。
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