里山の夏:墨流蝶
渓流のある公園を歩いていてスミナガシに出会った。そんなに多くはない蝶だから僕にとっての嬉しい出会いである。
”墨流染”のようにその黒は一色ではない。前翅は緑色を帯びた黒、後翅は青色味の強い黒、そして裏面は緑色味はなく深い紺黒色。微妙に色合いの変化する黒い翅のところどころを白く打ち抜いた斑は、裏面も同じ位置に現れるが、暗い瑠璃色を帯びて美しい。そして、路上で給水しているこの蝶の口のストローだけは赤い色。
国蝶のオオムラサキよりも渋く味わい深い色だ。日本的趣きに富んだ蝶である。
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