ピート・シーガー:虹の民におくる歌
あなたは、フォークの神様、ピート・シーガーをご存知でしょうか。
「僕は、フォークソング・シンガーであって、真のフォーク・シンガーは民衆である。」とは、彼の有名な言葉です。
彼は、アメリカの公民権運動、労働運動、学生運動、環境保護運動…の集会では、常にその先頭にあって、放送局から一時期パージをうけ、しかし、80才を越えて、フォーク・シンガーと賞賛される自分を受け入れながらも、しかし、彼の最新作は、「私はいまだに模索中」(AND
I'M STILL SEARCHING)という題名です。
彼の歌とは知らない人でも、「ハンマーを持ったら(天使のハンマー)」「花はどこへ行ったの」「ウィ・シャル・オーバーカム」「我が祖国」…、は一度は口ずさんだか、聞いた事があるのではないか、と思いますが。
彼の "WHERE HAVE ALL THE FLOWERS GONE" という著作の日本語版である「虹の民へおくる歌」(Songs
for Rainbow Race)が、2000年に社会思想社から出版されました。興味がお有りでしたら…と思いまして、紹介させて頂きました。なぜなら、僕の生き方の源泉は、ピートに体現される世界に有るものですから…。
この本の64ページに、「蜘蛛の巣」という歌が載ってます。『ニューヨーカー』という週刊誌にエッセイを書いていたE・B・ホワイトがある時、彼の妻のキャサリンに誕生日の贈り物として書いたもので、彼の死後出版され、これにピートが曲をつけたものだそうです。
著作権の問題をクリヤーする必要があり譜面を載せられないのは残念。でも歌詞の訳については、お許しを得ました。
【ピート・シーガー著、矢沢 寛監訳、『虹の民におくる歌』2000年、社会思想社】
The Spider's Web
(original title: "Natural History")
1 |
小枝から蜘蛛が飛び降りて |
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彼女の考案した設計図を展開する |
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良く考えられた細い仕掛け |
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昇っていくときにも使える |
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2 |
宙を渡るその道のりを |
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代々受け継いだ冷静さと忠実な気質で |
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彼女ははしごを紡いで行く |
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彼女が紡ぎ始めたところへ向かって |
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3 |
だから私も |
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蜘蛛が蜘蛛の巣の中でそうするように |
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真理を見抜く洞察力を求めて進もう |
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君に絹の糸を結び付けよう |
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私が戻って行けるように |
なぎら健壱 の追悼文がネット上にあった。
”フォークソングの父と呼ばれたピート・シーガーが94歳で亡くなった。その名前は知らなくとも、かつてフォークソングが華やかなりし頃、「花はどこへ行った」「天使のハンマー」などの作品を世に送った人物といえばうなずけるであろうか。
1960年代前半のアメリカに、フォークソングのリバイバルブームが訪れる。ブームの中で、多くの歌手やグループが輩出されるのだが、その背景にシーガーの存在が大きくあった。アメリカンフォークの歴史を探っていくならば、その過程において必ずといっていいほどシーガーの名前が登場する。”
「ハンマーを持ったら」の歌詞 (日本語訳):
アメリカ国中に、今この国の自由が脅かされていると警鐘を鳴らし、国中に愛と平和を…、そして反動の勢力に正しい裁きを…、と天使のハンマーを打ち鳴らす。
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