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クモは糸を使い分ける 2020年6月

 クモのおしりには3対の「糸いぼ」があります。「糸いぼ」には「出糸管」という細い管が並んでいます。1本の「出糸管」は、クモの体内にある7種類の「糸腺」のどれかとつながっています。「糸腺」は、異なった性質のタンパク質の液体を貯めています。「糸腺」の中のタンパク質は、「出糸管」を通って空気に触れると糸になり、この細い糸を何本か束ねて1本の糸になります。
 網の枠糸や縦糸と常に出している「しおり糸」、その糸を所々でとめる付着盤の糸、粘着糸である横糸(べん状腺から出た糸に集合腺の粘液が塗られ、粘液は数珠状に並び粘球となります)、横糸を張るときの足場糸、獲物をぐるぐる巻きにする糸、卵のうを包む糸。多様な糸を使い分けることで、クモは多様な行動と多様な種を分化させました。
 糸の太さは、髪の毛の20分の1。強さは鋼鉄の5倍、伸びはナイロンの2倍。直径1 cmのクモの糸で飛んでいるジャンボ・ジェット機もつかまえられます。

ササグモの糸いぼ [吉倉 眞(1982)を改変]

横糸と粘球の電子顕微鏡画像 [Herberstein(2011)]

糸の種類とつかわれ方 [小田英智(1999)を改変]
 

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