クモは稲の守り神 2020年9月
田んぼで稲作りが始まったのは、約2800年前の縄文時代の終わりからだといわれています。弥生時代に入ると、全土に広まり、人口も増え、稲作文化が開化します。1964年、神戸市灘区桜ヶ丘町で、1ケ所から14個もの銅鐸(どうたく)が発掘されました。出土した桜ヶ丘神岡5号銅鐸(国宝・弥生時代中期・神戸市立博物館蔵)には、古代人の生活とトンボ、カマキリ、カエル、カメ、イモリ、ヘビ、サギ、シカなどの動物も描かれ、クモも1頭まじっています。絵の解釈については、多様な解釈があり定説はまだありませんが、農作物の害虫を捕える動物を描き、豊作を祈願したとする説に、私は思わずうなずいてしまいます。当時の人々は、害虫を退治してくれる益虫を「稲の守り神」として、祈りを込めて描いたのではないでしょうか。
稲がぐんぐんと大きくなる夏からは、稲を襲う害虫が増えてきます。クモもこの時期から田んぼに増え、害虫とクモの対決が始まるのです。
銅鐸に描かれたカマキリ・カエル・クモ
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