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クモは空を飛ぶ 2020年11月

 子グモは卵のうからでて、2回または3回目の脱皮が終わると、近くにある高い所、木や草の先端などに上って行き、そこでお腹を高くもち上げて糸を風に流します。そして糸がちょうどよく風に乗ったのを見計らって脚を離すと、クモのからだは空に昇って行きます。風が強くても、無風でもだめで、多少の上昇気流がある日が良いようです。この行動はバル―ニング(空中旅行)と呼ばれ、晩秋と春に多いのです。
 この青空にきらめくクモの糸を、雪深い地方では、雪迎え、雪送りともいいます。和歌などの古典文学に現れる「糸遊(いとゆふ)」が飛行グモの糸であることをつきとめたのは、山形県で小中学校の教師をしながら研究を続けた錦三郎です。
 「糸遊」を「かげろう」と読ませることがあります。輝く様子から野に揺らめく陽炎(かげろう)を指すようになりました。トンボが「かげろう」と呼ばれたのも、透明な薄い翅が日を受けてきらきらと光るからでしょう。 

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