ジョロウグモは獲物の頭や胸をめがけてかみつくのか？ 2021年11月

　秋の代表的なクモといえば、ジョロウグモです。秋になるとメスのお腹は赤くなり、小さなオスが網に集まって来ます。
　ところで、ジョロウグモは、網にかかった獲物にかみついた後、獲物を糸でぐるぐると巻きます。ジョロウグモは獲物の頭や胸をめがけてかみつくとの通説を検証するため、実験的にフタホシコオロギを網に投げ入れ、クモの捕食行動を観察しました。
　三郷町のジョロウグモ66個体で実験したところ、網に投げ入れられたコオロギの頭がクモに向いた場合、クモはコオロギの頭にかみつきました。コオロギがクモに対して横向きと下向きの場合、クモはコオロギの脚や翅、腹、胸にほぼ同じ確率でかみつきました。よって、ジョロウグモは、獲物のかみつきやすい場所をかむのだと考えられます。
　ジョロウグモは、コオロギの頭や胸にかみつくと、糸で巻きましたが、脚や翅、腹にかみついた場合は、次に胸にかみついてから糸で巻きました。最初のかみつきでコオロギが弱らなかった場合、再びかみつこうとすると、コオロギのからだの中心である胸にたまたまなると思われます。つまり胸へのかみつきは、偶然の事と判断されました。

　ジョロウグモ（メス）[林 俊夫(2011)]

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