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クモ糸の実用化 2022年1月

 山形県鶴岡市にあるスパイバー社によるクモ糸の実用化はメディアに取り上げられていますのでご存知の方も多いでしょう。クモはカイコと違って肉食性で縄張り意識も強く、大量飼育が困難です。また、紡ぐ糸が多様なため、均質な糸を得る難しさもあり、量産化ができなかったのです。
 クモ糸を人工合成する流れを説明しますと、天然のクモから糸タンパク質の遺伝子を読み取ります。遺伝子を入れてやる生物に応じて遺伝子を修正し合成します。この合成遺伝子を細菌に導入し、細菌を培養すると、クモ糸のタンパク質が得られます。回収されたタンパク質を精製し、紡糸します。
 繊維工業はエネルギー消費が高く、二酸化炭素排出量も多いのです。ナイロンなど化学繊維は、石油から作られますが、人工クモ糸は、石油でなく植物が作る糖を使い、発酵による低エネルギー生産が可能です。クモ糸が製品としてだけでなく、気候危機と地球環境問題にも貢献できると考えられます。

鶴岡市サイエンスパークに掲示されているスパイバー(Spiber)社と
大学など研究機関の看板

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