コガネグモが減っている 2022年4月
クモは、環境の変化に敏感で、植生が変わるとクモの顔ぶれも大きく変わります。クモは、食物連鎖の中間に位置しますので、クモの数と種類が多いということは、クモが食べる生き物や、クモが食べられる生き物が豊かであることを意味します。クモは、環境の豊かさを測る指標なのです。
かつて、里山で普通に見られたコガネグモが日本各地で減っています。奈良盆地での私の調査では、2013年から2014年には、85地点のうち58地点で生息が確認されましたが、2019年はその約52%に当たる30地点でクモが見つかりませんでした。このことから、奈良盆地のコガネグモは減少傾向にあることが示唆されました。原因として、コガネグモの生息地周辺の森や水田など里山の景観構造の変化がエサの昆虫の減少をもたらしていると考えられます。自然環境の保全に関心を寄せてください。クモからのお願いです。
これで連載を終わります。ご愛読ありがとうございました。
里山の環境指標種 コガネグモ(メス)
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