チベットの旅 2004年
ラサの空港からチベット仏教の聖地、ダライ・ラマの宮殿ポタラ宮へと向かう。今、チベットは夏。世界の屋根の山々から運ばれてくる砂を含んで、ヤルツァンポ川の泥水は悠々と流れる。冬になると川幅も狭まり、河岸の泥は風に吹かれ砂塵となって山々へまた還るのだという。繰り返されるその悠久の営みによってチベット高原の景観はもたらされたのだ。チベットの鳥葬は有名だが水葬もある。死者の遺体を切り刻み川に流して弔うという。ラサからの帰途、車窓からこの光景に出逢う事ができた。空・雲・火・水・大地を意味するかのように、青・白・赤・緑・黄の5色のタルチョ(祈祷旗)がラサのいたるところではためいている。
ラサ市内に入る。ダライ・ラマの夏の離宮ノルブリンカは修復工事中。壁面の黄色が紺碧の空と眩しい白雲に映えてとても美しい。セラ寺、ジョカンとパルコル。どこでも巡礼たちは時計回りに歩き、彼らが手にしたマニ車も時計回りにまわる。
歴代ダライ・ラマの住居であり、チベット族の政治と宗教の中心であったポタラ宮。その規模の大きさに圧倒される。壮大なその宮殿は、ダライ・ラマ14世という全チベット族の心の支えである主人を亡命で失い、心なしか寂しそうに佇んでいた。
チベットの旅/冬虫夏草とクモへ
もどる |