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チベットの旅/冬虫夏草とクモ

 ラサホテルの中庭でオオヒメグモによく似たヒメグモ科のクモを見つけた。さて、チベットに関する唯一のと言って良い有名なガイドブックに西蔵博物館(チベット博物館)は、『チベットの各時代における風習や文化に関する展示、ダライ・ラマとパンチェン・ラマの事跡、チベット族の服装、文化、宗教などに関する展示を行っており、チベットに関するひととおりの知識を入手できる。』と紹介されているが、これは偽りである。博物館とは名ばかりでその敷地の殆どは土産物屋つまり中国国営土産店である。現地に赴いて取材をしてもらいたいものだ。私は、クモ目的で西蔵博物館のトイレに入ったので落胆せずに済んだが…。ところで、トイレはクモを採るのにうってつけの場所である。餌となる虫が多いからだ。ここでは、ガケジグモ科のクモを採集した。ツアーに同行の人々は、酸素のスプレー缶を購入。ラサの標高は3,650 m、ポタラ宮は13階建てで115 mもあるから、ポタラ宮の屋上は3,765 m。富士山の山頂とほぼ同じ。西蔵博物館で一番売れたのは、「酸素」であった。私は、高地順応をするぞ…、とやせ我慢をして酸素は全く買わなかったが。ポタラ宮の道を挟んで南側にあるポタラ宮広場では、コガネグモ科のクモが円網を張っていた。

チベットのヒメグモ科のクモチベットのガケジグモ科のクモチベットのコガネグモ科のクモ

 チベットで有名なものに「冬虫夏草」がある。チベット高原からネパール辺りの標高3,500 m以上の高地にだけ生息するコウモリガの幼虫に取りついたキノコ。漢方薬となっている元祖「冬虫夏草」がこれである。ひとくちに冬虫夏草といっても種類は様々で、セミの幼虫の頭からキノコが伸びて地上に出るセミタケやクモに菌糸がつくクモタケというのもあり、これらは日本でも見つかる。虫を栄養として生える菌類なのだが、地上には植物らしきものが生え、それを掘ってみると虫の姿となる。冬には虫で夏には草になるのだろうと昔の人は考えた訳だが、冬虫夏草は虫にとっては死に至る怖い病なのである。さて、元祖「冬虫夏草」はラサ空港でデシケーターに入れて量り売りされていた。私は、デシケーターの蓋を開け、買いもしない「冬虫夏草」をいじくりまわしては写真を撮影させて貰った。

冬虫夏草の写真

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